2017年7月12日水曜日

ホイールの力学

こんばんは。バイクカフェ カイエンドーです。
今日はホイールのお話です。

前回、ホイールのリアエンド幅(OLD:オーバーロックナット寸法)
についてちらっと触れましたが、ロード系の130mmと
MTB系の135mmが一般的です。
(新しい規格の142mmのスルーアクスルもありますね)

今日はなぜ130mmと135mmがあるのかという疑問にお答えしたいと思います。

結論から言うと、ホイール強度が必要なMTBでは135mmが採用され、
強度が必要ないロードではQファクターやチェーンラインの点で有利な
130mmが採用されたということです。

今日の本文はおしまいです。

...あまりに身もフタもないのでもうちょっとお話ししたいと思います。

図1. ホイール断面

こちらはホイール断面の図です。
スポークはリムからハブの両端に斜めに出ており、
基本的な三角トラス構造をしています。

図2. リムに水平な負荷がかかった時の図

つぎにリムに水平方向の力が加わった(バイクを傾けた、または横からの衝撃など)
の状況を考えます。
水平方向の力(青)は、スポークを圧縮する力(オレンジ)と
スポークを引っ張る力(緑)に分かれます。
ここでオレンジ側だけに注目すると、
ハブとスポークの作る角度をθとおくと、スポークにかかる力は
F/cosθと表せます。
θが小さいほど、つまりハブの幅が広いほどスポークにかかる力が小さくなります。
そのためエンド幅が広い=ハブの幅が広いとホイールの強度が上がります。

カメラの三脚を立てるとき、脚を狭めた状態より大きく開いた方が
倒れにくいですね。それと同じです。

さてついでに、
我々バイクメカニックがホイールを組むとき、どのようにして
スポークテンションを決めるのでしょうか。
概ねスポークのテンションには許容範囲がありますが、
ライダーの体重と好みに併せて調節します。
図3. スポークをトラスと近似した図

図3は、ホイール断面の三角形をスポークを2辺としたトラスに近似した図です。
静止状態において、ライダーの体重はハブ軸を押す力Fとしてこのトラスに作用します。
このトラスの水平方向の分力とFH、スポーク方向の分力をFSとおいて、
トラスの力の釣り合いから
FS=F/cosθ
FH=FS sinθ
の2式が得られます。
ロードバイクの場合、荷重はフロント45%、リア55%になると言われています。
この式と体重からスポークに作用する圧縮力を求めることができます。
次に、ホイールを横から見た図が下の図です。

図4. 静止状態でスポークに作用する力

ハブにかかった荷重は、下側のスポークを圧縮し、上のスポークを引っ張ります。
スポークにはあらかじめ張力がかけられています。
つまり、下のスポークは張力を緩めるられる方向に力が加わり、
上のスポークはより引っ張られる方向に力が加わります。
このとき、スポークの張力が弱すぎると、下側に来たときに座屈して
スポークが破壊してしまいます。
逆に、張力が強すぎると上側に来たときにスポークの引張強度を越えて
やはりスポークが破壊してしまいます。(その前にリムやハブが変形しますが)

そのようにならないように、ライダーの体重と上記の式から
適正なスポークテンションの範囲を求めておきます。
その上で、好みに合わせて固め、柔らかめの調整を行います。

なお、これはあくまで静止状態の話であって、さらにラジアル組に近似しています。
リアホイールには駆動トルクが重畳され、そちらが支配的で、
そもそもクロス組の場合にはもう少し異なってきます。

というわけでホイールを組むときにはこのようにややこしいのですが、
私はめんどくさいのでホイールサイズ毎に近似した三角形を使って
計算しています。
(近似に近似を重ねてかなーりどんぶり勘定な計算ですが!)

リア12Hでトリプルバテッドスポークでテンション激高カチカチホイールで!
とかそういうシビアなオーダーの場合にはちゃんと計算しますよ!ご安心ください。

リアの駆動トルクに関してはまた次回にでもお話ししたいと思います。

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