さてスポーツバイク専門店のくせにチューブレスタイヤよりBEタイヤ(耳付きタイヤ)の交換経験の多い店ことカイエンドーです。
古い実用車にタイヤ交換で入庫していただきました。昭和の耳付きタイヤです。
「耳付きタイヤ」ことBEタイヤ、正式名称はBeaded Edgeタイヤです。ビード部から耳というか謎のヒレが出ており、これでチューブを包む構造になっています。チューブラータイヤが分解された状態だと思っていただければわかりやすいです。
白い部分が耳です。サイドウォールではありません。切り欠きはバルブが通る穴です。昔交換したものはこの部分は切られていたんですが、これは切ってなかったので適当に切りました。
耳付きはリム打ちパンクに強く悪路に強いと言われていますが、ほんまかいなって感じですね。現在だと。昔はどうだったんでしょうか。
交換ですが、外すときは手で引っ張るとガバっと取れます。昔のHEとかクルーザー用のシングルウォールリムのノリでいけます。ビードの下に耳があるのでタイヤレバーは刺さりにくかったりします。
付けるのはめんどくさいですね。相当難しいとかよく言われますが、実際やるとそうでもないです。ただひたすらめんどくさいだけです。
要は分解されたチューブラーなので、リムにはめながらタイヤでチューブを包んでやります。左の写真のように、まず耳を全部リム内に落とし込んで、右のように内側に折り込んでいきます。ビードにはワイヤーが入っておらず柔らかいので、グニグニと押し込んで行けば大丈夫です。無理に引っ張るのは禁物です。多分変形してしまいます。
片方の耳がリム内に入ったらビード部を押し込み、それから反対側からチューブを入れます。この時、一度チューブを軽く膨らますとタイヤ内側にチューブが押し付けられ、折れ曲がりなどがなくなって反対の耳を入れやすくなります。今となっては正しい方法かどうか知りませんが、紆余曲折を経て得た重要な知見です。これの有無で難易度が激変します。交換する方は(いないと思うけど)どうか参考にしてください。
いきなり完成です。まずは耳を反対の耳とチューブの間に入れていきます。入りにくい場合には樹脂製で先の丸いタイヤレバーを使ってチューブを傷つけないように押し込んでいきます。耳を入れながらビードもはめ込んでいきます。同時にやらないとハマりにくいのでうまいことやっていきます。慣れれば大したことはないのですが、写真を撮る余裕はありませんでした。
さて、自転車用のタイヤにはBEの他にHEとWOという分類もあります。これらはビード径とリム外径でそれぞれ設計されており、歴史的には別物です。しかし、これも現在ではほぼ意味のない区分になりつつあります。なおこれについてはなんだかんだでアラヤのサイトが詳しい。
この区別を無意味とする向きもありますが、当店のように古い部品を扱うショップや古い自転車をお持ちの方には重要になりえます。とは言っても、最も問題になるのはHEリムにWOタイヤを付ける時なので、そもそも700Cや650BのHEリムは過去に存在していませんので(たぶん)(私の知る限りでは)(そういうのに限って出てきたり)大丈夫だと思います。
古いWOリムに現代のHEタイヤを付けた場合、問題になることはおそらくほぼないと思います。(どちらもビード径で管理されているため)
MTB用の29インチと27.5インチは登場時点でWOと同じくビード径で設計されています。したがって現状、注意すべきはTiogaなどの一部に見られる古い設計のタイヤのみです。
過去には私も半信半疑で古い650Bリムに27.5インチタイヤを付けていましたが(当時はリム・タイヤどちらのメーカーからも明確な回答がなかった)現在ではすべてビード径に統一されています。たぶん
最後に、BEについてはそもそもビード径なのかなんなのか正直よくわかりませんが、当店取扱いのものはメーカー在庫のみになってしまいました。交換をお考えの皆様、なるべくお早めに!