2020年11月1日日曜日

コースターブレーキの構造

コースターブレーキは国内ではあまり馴染みのない部品ですが、北米ではメジャーなようで、シティーコミューターなどに幅広く採用されています。 

日本国内ではビーチクルーザー用の部品として認知されていると思います。
右がコースターハブのアップです。黒いハブなので見た目わかりにくいですが、このハブ内部にブレーキ機構が入っています。

かなり独特な動作をするコースターブレーキ、正直なところ動作機構がよくわからなかったので、店長のクルーザー用に用意したコースターハブを分解してみました。

と、その前に、コースターハブについておさらいしておきましょう。上の写真がコースターハブです。写真手前側にスプロケット(シングルスピード)を取付けます。写真上側の棒はブレーキアームです。これとチェーンステーを接続します。

コースターブレーキの動作ですが、上記写真の青い矢印方向、通常の方向にペダルを回すと普通に進みます。逆向きの赤い矢印方向、つまり逆回転するとブレーキがかかります。漕がないと転がります。トラックバイクの直結ハブとは違ってフリー機構があるため転がることができます。直結とは全く別物です。

こちらがシマノ CB-E110 コースターハブの部品図です。これだけだとどういう仕組みなのかよくわかりませんね。

はい分解しました。これを見ていきましょう。

左写真、一番左側が途切れていますが、ハブシャフト端がブレーキコーンです。上の図面の(6)です。中央の2つある瓦型が(8)ブレーキシューです。
右写真のネジが切られたこの部品が(11)ドライバです。右端の溝にスプロケット(シングルなのでギア1枚です)を取付けます。


こちらはハブ内部をドライブ側から見たところです。ベアリングの奥に見えるネジが切られたものが(9)クラッチコーンユニットです。このネジがドライバのネジと噛み合うようになっています。

さてこれだけではさっぱりなので、内部構造をポンチ図にしたのが下図です。

ハブを真後ろから見た断面です。右側の緑色がスプロケット、ここにチェーンがかかっています。スプロケットとドライバは一体構造です。上で見たネジの切られたドライバと、クラッチコーンのネジが噛み合っています。

まず正転時です。普通に漕ぐ方向に回転させると、クラッチとドライバのネジが閉まる向きに回り、クラッチが右移動します。右移動してハブと噛み合うことで回転力が伝わり、ホイールが回ります。


逆転時です。クラッチとドライバのネジが緩む向きに回り、クラッチが左移動します。ブレーキシューが押されてブレーキコーンとクラッチに挟まれてハブ内壁に押し付けられてブレーキがかかります。図では省略していますが、シューはブレーキコーンに設けられた窪みに沿って動くので、シューとコーンは噛み合います。コーンとブレーキアーム、車体がつながっているので制動されます。

と、こんな感じで動いているみたいです。

ここらへんで鋭い方はお気づきかと思いますが、ベアリングに付いているグリスとドライバやブレーキシュー周りについているグリスの色が違うことに気づかれましたでしょうか。こちらは新品なので古いグリスではありません。

このグリスです。シマノ ローラーブレーキグリス
これはローラーブレーキに使うグリスです。金属製のブレーキシューと金属製のハブボディが直接こすれると大変なことになるので、グリスが封入されています。キャリパーブレーキなどに使われる乾式のブレーキと異なり、金属同士の間で高圧になったグリスの剪断抵抗を制動力に用いています。つまりコースターブレーキのシューもローラーブレーキと同じく、グリス切れにならない限り交換の必要はありません。

このブレーキ機構はハブ内部に密閉されているため、ローラーブレーキと異なってグリス補充の必要はありません。というか分解しないと補充できません。事実上、部品寿命の間は保つということなのでしょう。ハブメンテのついでにグリスを交換してやると良いですね。

しかしこのコースターハブ、内部機構のため、回りはじめに回転がぐにょっとするので玉当たりの調整がさっぱり分かりづらいですね。高出力ハブダイナモもコギングトルクがあるので大概ですが、こいつに比べればどうということはないです。

というわけでなかなかおもしろい構造をしているのがコースターハブでした。

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